主なポイント

• ステーブルコイン市場の急成長：2025年8月時点で、世界のステーブルコイン時価総額は2,800億ドルを超え、2019年初頭から660倍以上に拡大しました。オンチェーンでの年間決済総額は30兆ドルを突破し、SWIFTやVisaと並ぶ取引規模を記録しています。規制強化や大手企業の参入が、この急成長を後押ししています。

• 規制とコンプライアンスの加速：GENIUS法、ステーブルコイン関連条例、MiCA規制枠組みの本格導入、各国における多様な規制体制の整備により、「コンプライアンスの時代」が始まっています。制度化が進み、主流となりつつあります。

• 大手企業の本格参入：PayPal、Visa、Mastercardなどの伝統的金融企業が、ステーブルコインを国際送金、小売、企業向け決済システムに積極的に取り入れ、マルチアセット対応のネットワークを構築しています。
• 市場構造と新勢力：USDT、USDCが依然として主導権を握っていますが、決済・清算領域ではUSDCの利用が優位です。Ethena LabsのUSDeなど利回り型ステーブルコインが急速に台頭し、短期間で市場シェアを獲得しています。

• 三つの要素を持つモデルへの進化：ステーブルコインは従来の決済用から、ペグ・利回り・応用の三要素を持つモデルへと変容しています。決済面では国際送金、企業、小売の利用が広がり、利回り面では利回り型ステーブルコインやリアルワールドアセット（RWA）担保型ステーブルコインの導入が進みます。応用面では、サプライチェーン金融、給与支払い、資本市場での担保化など、オンチェーン金融が実体経済に広がっています。

• インフラ競争の激化：ステーブルコインの競争は「トークン競争」から「インフラ競争」にシフトしています。Tether、Circle、Stripe、Alchemy Pay、Convergeなど主要企業が独自ブロックチェーンの構築を進め、決済・清算の主導権を争っています。
• 今後の展望：技術面ではクロスチェーン決済やマルチチェーン対応、市場面では既存の決済ネットワークと並存し、リアルワールドアセット（RWA）を通じた資本市場参入、制度面ではCBDCとの共存が想定されます。爆発的成長からコンプライアンス確立へと移行し、トークン競争からインフラ競争へ、米ドル中心から地域的多極化へと変化しています。今後3～5年の間に、クローズドループのエコシステムをいち早く構築する企業が、次世代のグローバル価値ネットワークの標準を形成する可能性があります。

免責事項
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