指尖悦動、不正流用で6.6億香港ドル超の損失 - 香港証券取引委員会が処分

指尖悦動（Fingertips Entertainment Limited）及び同社の元取締役8名が、香港証券取引委員会（SFC）から処分を受けました。IPO調達資金の不正流用により、6.6億香港ドル以上の損失を招いたとされています。

違法行為の概要

SFCの調査によると、指尖悦動は2018年7月の上場直後、取締役会の承認なしにIPO調達資金4.5億香港ドルをファンドに投資しました。さらに2019年12月には、2.5億香港ドルを小規模な民間企業が発行した貸付債券に投資。この債券はデフォルトし、利息を含め2.5875億香港ドルの損失となりました。

2020年5月から2021年3月にかけて、指尖悦動とその子会社2社は15の借り手と20件の融資契約を締結。総額5億香港ドル以上に上るこれらの融資の80%以上がデフォルトし、約4.24億香港ドルの減損損失が発生しました。

規制当局の対応

SFCは、これらの損失が元取締役らの義務違反に起因するとし、会社および子会社への損害賠償責任を問うとしています。

香港証券取引所も同社と元取締役8名に対し、懲戒処分を発表。指尖悦動を譴責し、複数の元取締役に対して取締役不適格声明や投資家利益損害声明を出しました。

Web3業界への影響

この事例は、香港における金融規制の厳格化を示しています。特にWeb3やブロックチェーン関連企業にとって、コンプライアンスの重要性が改めて浮き彫りになりました。

香港はグローバルな金融ハブとしての地位を維持するため、投資家保護と市場の健全性確保に注力しています。Web3企業は、従来の金融規制に加え、暗号資産特有のリスク管理にも細心の注意を払う必要があります。

業界への教訓

1. 透明性の確保: 資金使途の明確化と適切な情報開示が不可欠
2. 内部統制の強化: 取締役会の監督機能と意思決定プロセスの改善
3. リスク管理: 特に新興技術分野での投資におけるデューデリジェンスの徹底
4. 規制対応: 急速に変化する規制環境への迅速な適応

Web3企業は、イノベーションを推進しつつ、コンプライアンスと健全な経営のバランスを取ることが求められています。この事例は、業界全体にとって重要な教訓となるでしょう。