市場は今日、突然持ち直しました。

直接的な理由は？FRB（米連邦準備制度理事会）が正式にバランスシート縮小（QT）の一時停止を決定したことです。このタイミング自体が強いシグナルの意味を持っています――資金がそれほど逼迫しなくなり、リスク選好も自然と高まりました。

日中、もう一つの出来事がありました。FRBがオーバーナイト・リバースレポを通じて銀行システムに約135億ドルを注入しました。これはパンデミック以降、単日の流動性供給規模としてかなり大きい部類です。ただし、これを「金融緩和」と誤解しないでください。オーバーナイト・リバースレポは、銀行システムの流動性が突然詰まった際にFRBがやむを得ず行う一時的な救済措置で、「緊急対応」の性格が強く、「緩和」のシグナルではありません。

それでは、本当に金融環境を緩和させるカギは何でしょうか？答えはSLR――補完的レバレッジ比率です。

SLRとは、簡単に言えば銀行のバランスシートに上限を設けるものです。この指標が緩和されなければ、銀行はバランスシートを拡大できず、米国債もこれ以上吸収できませんし、財務省の継続的な国債発行需要にも対応できません。その結果、システミックな圧力がどんどん積み重なり、FRBは流動性が底をつくたびに救済に動かざるを得なくなります。市場は「緊張―流動性供給―再び緊張」というサイクルを繰り返し、持続的な緩和局面を作ることができません。

今回の暗号資産市場の上昇も、突き詰めれば「QT終了」に対する感情的な反応に過ぎず、資金環境が本当に改善したわけではありません。

デジタル資産の価格動向の核心的なドライバーは、やはりドルの流動性が本当に緩和路線に戻るかどうかです。しかし現実は、QTは止まったもののSLRは緩和されておらず、オーバーナイト・リバースレポも短期的な救急措置にとどまり、財政面での供給圧力も依然として残っています。銀行システム全体も依然としてタイトな状態です。言い換えれば――流動性は本当の意味で転換していません。